iPadが発売されて出版業界に大変革をもたらすといわれていますが,今のところそれほどでもないような気がします.
iBookstoreの話題は開店休業状態の日本だけでなく米国でもほとんど取りざたされませんし,リリースされる電子書籍といえば電子書籍アプリか電子書店アプリだけで「コンテンツ」が流通しているという感じがしないからでしょうか.
なぜかほぼ時を同じくして電子書籍に関する興味深い記事がドドッと掲載されていたので,特にまとまった結論があるわけでもなく羅列する感じでご紹介.
まずはPConlineに掲載された「電子書籍、売れないはずだよね -- 「ビューン!!」も正式再開したけど」という記事で林伸夫氏によるもの.
EPUB形式の電子書籍でまともに販売されているものはないのでご自身で作った話とか,購入したのにFlashPlayerを要求されて閲覧さえできないコンテンツがあるとか,購入の仕方が煩雑で困った時のサポート体制もしっかりしていないとか,結局は紙媒体の広告アプリに過ぎないものがあるという話などなど.
読みながら何度もウンウンと頷きました.その気持ちとっても良く分かりますよ.
売ってるコンテンツがないのなら「自炊」しましょ!ってな具合に,山田祥平氏が書籍をスキャンしたPDFファイルをどうやって読むかという話を書いておられるのが「この自炊の虚しさは誰にぶつければよいのか」という記事で,iPadでPDFを読むにはBookmanかiBooksの2つのアプリが良い感じで,特にBookmanは最初の読み込み時にバックグラウンドで最適化してくれるので2回目以降開く時にサクサク動くと書いてあります.
ただし,最初から最後まで通して読む書籍ではなくリファレンスのようにあれこれ行ったり来たりしながら読もうとすると,ライブラリが共有できないのでアプリを終了させては立ち上げるという操作を繰り返さないといけないのが煩雑で,しかもアプリによって微妙に使い方に差があることが誤操作を生じさせる原因になっているとも指摘してあります.
確かに今のバージョンのBookmanはかなり評価も高くて実際に快適に閲覧できるのでとても使いやすいのですが,しおりや検索機能がつけば電子媒体を扱うメリットがさらに活かされると思います.
iBooksは純正だけあってiTunesにファイルを放り込んでおけばライブラリを母艦側で管理して勝手に同期されるのが便利なものの,PDFファイルの閲覧に関しては見開きにならないのが玉に瑕.
iBookstoreの話題は開店休業状態の日本だけでなく米国でもほとんど取りざたされませんし,リリースされる電子書籍といえば電子書籍アプリか電子書店アプリだけで「コンテンツ」が流通しているという感じがしないからでしょうか.
なぜかほぼ時を同じくして電子書籍に関する興味深い記事がドドッと掲載されていたので,特にまとまった結論があるわけでもなく羅列する感じでご紹介.
まずはPConlineに掲載された「電子書籍、売れないはずだよね -- 「ビューン!!」も正式再開したけど」という記事で林伸夫氏によるもの.
EPUB形式の電子書籍でまともに販売されているものはないのでご自身で作った話とか,購入したのにFlashPlayerを要求されて閲覧さえできないコンテンツがあるとか,購入の仕方が煩雑で困った時のサポート体制もしっかりしていないとか,結局は紙媒体の広告アプリに過ぎないものがあるという話などなど.
読みながら何度もウンウンと頷きました.その気持ちとっても良く分かりますよ.
売ってるコンテンツがないのなら「自炊」しましょ!ってな具合に,山田祥平氏が書籍をスキャンしたPDFファイルをどうやって読むかという話を書いておられるのが「この自炊の虚しさは誰にぶつければよいのか」という記事で,iPadでPDFを読むにはBookmanかiBooksの2つのアプリが良い感じで,特にBookmanは最初の読み込み時にバックグラウンドで最適化してくれるので2回目以降開く時にサクサク動くと書いてあります.
ただし,最初から最後まで通して読む書籍ではなくリファレンスのようにあれこれ行ったり来たりしながら読もうとすると,ライブラリが共有できないのでアプリを終了させては立ち上げるという操作を繰り返さないといけないのが煩雑で,しかもアプリによって微妙に使い方に差があることが誤操作を生じさせる原因になっているとも指摘してあります.
確かに今のバージョンのBookmanはかなり評価も高くて実際に快適に閲覧できるのでとても使いやすいのですが,しおりや検索機能がつけば電子媒体を扱うメリットがさらに活かされると思います.
iBooksは純正だけあってiTunesにファイルを放り込んでおけばライブラリを母艦側で管理して勝手に同期されるのが便利なものの,PDFファイルの閲覧に関しては見開きにならないのが玉に瑕.
読ませ方という点でいうと読む側と作る側で結構違いがあるのかなと思うきっかけになったのは梅田望夫氏の「iPadがやってきたから、もう一度ウェブの話をしよう」で,リリースされたのは知っていたので購入しようと思っていたところ「モノが好き」2さんの(の話をしよう)x 2の記事が目にとまってかなり躊躇してしばらく考えた後にようやく購入するに至り,そうこうしているうちにアプリ側の作者さんの「電子書籍の主役はあくまで「文章=コンテンツ」だということを忘れてはいけない」という記事を見かけました.
個人的には紙の本と電子書籍がイコールでないところに可能性があるのであって文章だけがコンテンツの主役だとは思いませんし,将来的にデファクトスタンダードになるかどうかは分からないものの,HTMLをベースにしたEPUBがまだまだ未熟なために様々なニーズに応えられないだけで,昔のテキストベースのウェブが変わっていったようにリッチな方向にも進化するのは必然なので,電子書籍のなんたるかがある程度見えてくる前からその範囲を制限する必要はないように思います.
読み心地を意識してはいけないと仰っておられますし,まだ全部読み終わっていないのでなんなんですけど,読んでいる途中の感想としてはこちらで既に指摘しておられることに加えて,検索ができないことや文字サイズが変更できずランドスケープにするとかなり字がかすれたようになるのがとても気になるのと(拡大と縮小はできますが,縮小は字が全く見えなくなりますし手を離すと戻ってくることもあるので意図して作られた機能ではないのかも?),他のアプリの仕組みともちょっと違って滑りながら中途半端なところでも止まるページ遷移が本ではなく巻物を読んでいるように感じられて,多少なりともコンテンツに没頭しにくいように思いました.
内容は今のところの印象では興味深く読み進められそうです.
文字サイズの変更はもとがPDFだと思われるので無理でしょうし,至適なサイズも人によって異なるので中庸を採用しているということなのでしょうが個人的にはもう少し小さい方が読みやすいですね.
最も悲しむべきはHTML5やCSS3でルビや段組,さらには音声や動画までも簡単に実現できるのに,電子書籍には多様性を許容できるオープンで最適な入れ物がまだ用意されていないせいで取り敢えずのフォーマットに押し込められてしまって,せっかくのライブラリを1つにまとめて同じ操作方法で扱えないことなのかもしれません.
テキストだけしか扱わないのであれば汎用性から考えてPDFは悪くない選択肢ではありますが.
じゃあ何で出版社は電子書籍をコンテンツとして積極的に提供しないのだろうという疑問が生まれるわけですが,これに対して出版社側の立場から説明してあるのが本田雅一氏の「電子書籍2010夏」という記事.
米国の2大書店の厳しい状況とAmazonの成長の話から始まり,日本の出版市場の縮小と電子化に伴う利益率低下のために電子書籍化に巻き返しのチャンスを夢見ながらも踏み切れない現状が書かれています.
とはいえ意外と上手くいきそうなのが電子教科書で,先日の記事でも紹介したCourseSmartの電子教科書アプリもしっかり「教科書として」使えるものに仕上がってきていますし,マイコミジャーナルの「電子教科書への期待と試行錯誤 -- 2015年には教科書市場シェア20%規模に?」という記事でもネットワーク機能やマルチメディア機能を活用した電子教科書の開発が進んでいるという話が紹介されています.
このあたりは教科書というものの専門性と市場の規模がちょうど良いくらいの大きさであることが有効に機能できている要因になっているのかもしれません.
あとは図書館で電子書籍を借りることについて書いてあるPConlineの「図書館で借りる電子書籍、ややこしいみたい」という記事にちょっとおもしろいことが書いてあって,提供されている電子書籍のフォーマットはEPUB,PDF,モビポケットなどがあるそうなのですが,電子書籍リーダーのうち利用されている台数としては比較的多いであろうiPadやKindleでは読むことができなくて,バーンズ&ノーブルのnookやボーダーズで販売されているKobo,SonyのReaderが対象となっているそうです.
図書館カードも必要で発行に際しては実際に図書館に出向いて行わなければならないとか,貸出期間が3週間だとすると期限が来たら霧のように消えてしまうとか,当然のようにコピーもプリントも出来ないようになっているという話も書いてあって,アナログな部分もある一方で手の込んだ仕組みが施されているのだということが分かりました.
やっぱりまとまりのない記事になってしまいましたが,まだまだ電子書籍も手探り状態というところでしょうか.
個人的には紙の本と電子書籍がイコールでないところに可能性があるのであって文章だけがコンテンツの主役だとは思いませんし,将来的にデファクトスタンダードになるかどうかは分からないものの,HTMLをベースにしたEPUBがまだまだ未熟なために様々なニーズに応えられないだけで,昔のテキストベースのウェブが変わっていったようにリッチな方向にも進化するのは必然なので,電子書籍のなんたるかがある程度見えてくる前からその範囲を制限する必要はないように思います.
読み心地を意識してはいけないと仰っておられますし,まだ全部読み終わっていないのでなんなんですけど,読んでいる途中の感想としてはこちらで既に指摘しておられることに加えて,検索ができないことや文字サイズが変更できずランドスケープにするとかなり字がかすれたようになるのがとても気になるのと(拡大と縮小はできますが,縮小は字が全く見えなくなりますし手を離すと戻ってくることもあるので意図して作られた機能ではないのかも?),他のアプリの仕組みともちょっと違って滑りながら中途半端なところでも止まるページ遷移が本ではなく巻物を読んでいるように感じられて,多少なりともコンテンツに没頭しにくいように思いました.
内容は今のところの印象では興味深く読み進められそうです.
文字サイズの変更はもとがPDFだと思われるので無理でしょうし,至適なサイズも人によって異なるので中庸を採用しているということなのでしょうが個人的にはもう少し小さい方が読みやすいですね.
最も悲しむべきはHTML5やCSS3でルビや段組,さらには音声や動画までも簡単に実現できるのに,電子書籍には多様性を許容できるオープンで最適な入れ物がまだ用意されていないせいで取り敢えずのフォーマットに押し込められてしまって,せっかくのライブラリを1つにまとめて同じ操作方法で扱えないことなのかもしれません.
テキストだけしか扱わないのであれば汎用性から考えてPDFは悪くない選択肢ではありますが.
じゃあ何で出版社は電子書籍をコンテンツとして積極的に提供しないのだろうという疑問が生まれるわけですが,これに対して出版社側の立場から説明してあるのが本田雅一氏の「電子書籍2010夏」という記事.
米国の2大書店の厳しい状況とAmazonの成長の話から始まり,日本の出版市場の縮小と電子化に伴う利益率低下のために電子書籍化に巻き返しのチャンスを夢見ながらも踏み切れない現状が書かれています.
とはいえ意外と上手くいきそうなのが電子教科書で,先日の記事でも紹介したCourseSmartの電子教科書アプリもしっかり「教科書として」使えるものに仕上がってきていますし,マイコミジャーナルの「電子教科書への期待と試行錯誤 -- 2015年には教科書市場シェア20%規模に?」という記事でもネットワーク機能やマルチメディア機能を活用した電子教科書の開発が進んでいるという話が紹介されています.
このあたりは教科書というものの専門性と市場の規模がちょうど良いくらいの大きさであることが有効に機能できている要因になっているのかもしれません.
あとは図書館で電子書籍を借りることについて書いてあるPConlineの「図書館で借りる電子書籍、ややこしいみたい」という記事にちょっとおもしろいことが書いてあって,提供されている電子書籍のフォーマットはEPUB,PDF,モビポケットなどがあるそうなのですが,電子書籍リーダーのうち利用されている台数としては比較的多いであろうiPadやKindleでは読むことができなくて,バーンズ&ノーブルのnookやボーダーズで販売されているKobo,SonyのReaderが対象となっているそうです.
図書館カードも必要で発行に際しては実際に図書館に出向いて行わなければならないとか,貸出期間が3週間だとすると期限が来たら霧のように消えてしまうとか,当然のようにコピーもプリントも出来ないようになっているという話も書いてあって,アナログな部分もある一方で手の込んだ仕組みが施されているのだということが分かりました.
やっぱりまとまりのない記事になってしまいましたが,まだまだ電子書籍も手探り状態というところでしょうか.
Posted Comment
i文庫HDとScan Snapとプラスの裁断機があれば、自炊最高ですけどね。後はpdf圧縮ツールとしてのAcrobat。虚しくなったことはないですが、逆にこの中のどれかがかけると、虚しくなるんですかね。
圧縮といえばいろいろツールがあるんですよね.
まとめた記事を見かけたのに忘れてしまいました.
とはいえ自炊環境の何一つ揃ってないのですが...
まとめた記事を見かけたのに忘れてしまいました.
とはいえ自炊環境の何一つ揃ってないのですが...
Trackback URL
http://doubleko.blog18.fc2.com/tb.php/5332-66db39c5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
Trackback