ふみぃ~.何だか虚しい・・・
以前,Phil Schiller氏かどなたかがAppleのビジネスはJobs氏によって50年先まで考えられているという話を見かけたことがあります.
これはおそらく具体的な製品のことではなくビジョンのことだと思いますが,Mail Onlineには,Jobs氏が遅れているiCloudの開発に目を配り,iPodやiPad,iPhone,MacBookなどのアップデートを立案し,少なくとも向こう4年間に渡る製品計画に相当するものを残しているという記事が掲載されていました.

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(From Mail Online)

たぶん,Appleほどの大企業であれば今後数年間の製品計画を立てていること自体はぜんぜん珍しくないんだと思います.

そんなことより,Jobs氏が「これは何だ?」と聞くAndy Warhol氏やKeith Haring氏といった著名なアーチストよりも,「これで何ができるの?」と尋ねる9歳の男の子と話すことを好んだように,製品に秘められた「可能性」をユーザに提供したいという姿勢を受け継いで,これからも人々の心に訴える製品を創り続けるかどうかです.
この間のiPhone 4S発表イベントを見て,Tim Cook氏はやはりSteve Jobs氏ではありませんでしたが,それはそれで良くて,むしろ多くのApple幹部が入れ代わり立ち代わり自らの役割を適切にこなしていくイベントを全体として見た時に,やっぱりAppleはAppleだと感じられたことで少し安心しました.

少し話は変わりますが,ここ数日,なぜ自分にとって何の面識もなく全くの赤の他人であるJobs氏の死がこれほどまでに堪えるのかということに自分自身が驚き,その理由を考えていました.
これまでにも本当に数えきれないほどの死を目にしてきたのに.
親しい人も,そうでない人も,本当に大切な人も.

全ての答えが分かったわけではありませんが,TechCrunchTechCrunch JAPAN)に書かれていることがその理由の1つのように思えます.

Jobs氏が著名人であること,今まさに成功の絶頂であること,平均余命を考えると相対的に若くして亡くなったこと,これらの理由で世界中が涙に暮れるという現象は他の方でも起こることです.
しかし,ここにも書いてあるようにJobs氏はMichael Jackson氏などの著名さとは違い,彼自身が表に立って世の中に知られていたわけではなく,Appleの製品を通じてユーザに知られていただけです.
多くのユーザは本当の彼がどのような人で,どんな考えを持っていて,何をしてきた人かほとんど知りません.
にも関わらず,多くのAppleユーザがJobs氏の死に深い悲しみを感じるのは,その製品の奥に “emotional tie” がありApple製品がJobs氏の “personification” だからではないかと指摘しています.

つまり,Apple製品はその奥に「人」あるいは「心」みたいなものを感じることができて,その具体的な対象がJobs氏だったということなのだと思います.
では,Jobs氏が亡くなったらそれを感じることができないかというときっとそうではなくて,それを感じさせるために必要で,具体的な製品計画なんかよりももっと大切なものを彼の後継者たちが受け継いでくれているのだと信じています.
おそらく,それは良くApple製品に込められていると言われる “hospitality” という類のものです.

私は,その “hospitality” が失われてしまわない限りApple製品を使い続けると思います.
これからもきっと.これからもずっと.
Date:2011/10/09(Sun) 04:39:21
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